結婚騒動
結婚騒動
クライアントが結婚式場だった時のある日、競合調査として、いろんな式場のカタログを取り寄せるように言われました。当時、私の仕事場は住居用マンションに設けられた会社の分室でした。そこは社名を表札に出すことを禁じられていたので、プランナーの苗字を表札に出していました。そこで私は、そのプランナーの苗字を偽名に使い、婚約をしたので式場のパンフレットを下さいと、いろんな式場に電話をかけて注文しました。
ところが、ある日のこと、いきなり式場の人が二人してマンションに訪れ、
「もと様、この度はご婚約おめでとうございます。」
と言って、カタログを直接届けにやって来たのでした。
会社の人は、面白おかしくて、奥で笑いこけているし、私は仕事とはいえ、婚約中の人として演技しなくてはなりませんでした。そんなことがあったため、それ以降の注文は、実家の住所と実名で手配しました。そうしたところ、実家のポストに、ある日膨大な式場パンフレットが投函され、その件をうっかり伝え忘れていた私に
「あんた、結婚するの?結婚式場のパンフレットがものすごく届いたんだけど、なんなの、これ?」
と、母親から会社に電話がかかって来ました。
「仕事よ、仕事」
そう、仕事なんです。まったくもうって感じの結婚騒動があったのでした。