今日もぽれぽれ

「ポレポレ」とはスワヒリ語でのんびり、ゆっくりという意味です♡

母子家庭時代 「娘の放課後」

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BGM:Hiver (大貫妙子) なんちゃって

 

小学校1年生になったばかりの娘は、へたをすると幼稚園より早く下校します。息子は保育時間を延長して7時までみてもらえることになりましたが、娘の放課後をどうするべきか、とても悩みました。

学童保育というのもありましたけれども、学童のお迎え時間に私の場合はとても間に合いそうもなかったので、その選択肢はないと思いました。また、娘も、身体を動かす運動はどちらかというと苦手で、家で絵を描いたりしているのが好きな子だったので、お家でひとりでいるか、おばあちゃんちに行っていると言い出しました。けれども、大人がそばにいないで、ひとりで部屋にいる状況は心配だし、実家には遊べる従姉妹達はいるけれども、毎日となると兄嫁にも申し訳ないし、どうしたものかと悩みました。

幸い、住んでいたアパートのすぐ近所に、私が小学校の時に勉強を教えてくれた学習塾がありました。といっても、今のような受験塾ではなくいわゆる補習塾です。私もはるか昔、そこに週3日通って、算数と国語と社会を習っていました。色々と考えあぐねて、ある日、私は塾の先生のところに娘を連れて相談に行きました。

塾は関東大震災でも焼けなかったという古き良き日本の民家で、私が通っていた当時そのまま建っていました。塾の扉を開け、お声をかけると、奥からなつかしいお姿の先生が出ていらっしゃいました。私は娘を紹介し、今の現状を簡単に説明しました。すると、

「まあ、もう、こんな大きなお嬢さんがいらしたのね。あなたによく似ているわね」

と娘に私を投影して、先生も私をなつかしんでくださいました。

先生に塾のことを伺うと、ごくわずかな生徒だけ、学年に関係なく勉強をみていらっしゃるとのことでしたので、うちの娘もお願いできないか、たずねてみました。すると、小学校の1年生からお勉強を教えたりはしていないのだけれども、とてもしっかりとしたお嬢さんのようだから、学校の宿題も一緒にみながら、お勉強をみてあげましょうとおっしゃってくださいました。

先生は私を教えていた時よりも、ずっとお年をめしていらっしゃいましたけれども、あの当時のまま、私にも娘に対しても、とてもきれいな日本語でやさしくお話する先生でしたので、娘もいっぺんで気に入ったようでした。

これで、週3日は、学校から戻ったら徒歩1〜2分のところにある塾に通えるようになり、残りの2日は、宿題が終わったら実家に行ってもよし、ということにしました。

実家の父は、孫達を不憫に思い、夕飯だって食べていけばいいんだと言ってくれましたけれども、私はそれだけはお断りしました。何故なら、ご飯を一緒にいただくというのが唯一のだんらんだと思ったからです。

母親が仕事から戻って大慌てで夕飯の準備をしている横で、ふたりの子供達がテレビを観ながら、笑っている。バタバタだけれども、子供達のために一生懸命ご飯をつくる。テーブルについて、いただきますをしてから、学校のこと、遊びのこと、なんでもよくて今日一日あったことを子供達と一緒に話しながらご飯をいただく。終わったら、食器の片付けを手伝ってもらい、その後は一緒にお風呂に入る。お布団を敷いて、川の字になって寝る。

そういうささやかな日常が、私の生きがいでした。ぜいたくをするでもなく、ただ毎日を規則正しく生活する、そういう日々の暮らしの大切さを子供達に教えることが、親のつとめだと思ったからです。片親の家庭だからと恥ずかしい思いを子供達にさせてはいけない、両親揃っている家庭と同じようにあたたかい家庭をつくりたかったのだと・・・いやいや、そんなたいそうなことじゃないかもしれませんね。

私自身が子供と一緒に生活することが楽しかった、多分それが最高の幸せだと感じていたからだと思います。世の中には子供がほしくても出来ないご家庭も沢山いらっしゃいます。その中で、神様が私を選んでこのふたりの子供達を授けた、と考えると、私はこの子達によって、親にならさせてもらったんだなあ〜と、つくづく思い、毎日を感謝し頑張れるのでした。