今日もぽれぽれ

「ポレポレ」とはスワヒリ語でのんびり、ゆっくりという意味です♡

母子家庭時代 「福袋」

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BGM:風(カサリンチュ) なんちゃって

 

娘が小学校に上がった時に、約束したことがあります。

それは、入学時に買ってあげた赤いランドセルと赤い筆箱を6年間使い続けるということです。

その赤い筆箱は、何の変哲もない昭和の香りのするもので、入学時に一般的に購入するタイプのものです。けれども、ほとんどのお子さんは、そのような筆箱はすぐに飽きてしまい、ファンシーショップにあるような可愛いタイプのものに取り替えてしまいます。また、鉛筆も私は個人的に書き味を優先したので、パステルカラーのUniの鉛筆を1ダース用意して、持たせましたが、これもほとんどのお子さんが、ご自分の大好きなキャラクターの絵が入った鉛筆にしてしまったのではないでしょうか。

子供達の持ち物は、入学時に質素だったとしても、周囲のお友達にも影響されて、どんどんとエスカレートしていくものです。また、学用品といえば、親御さん達もお小遣いとは別に消耗品だからとわりと気楽に買い与える方が多いのではないでしょうか。

そもそも、今の時代は、幼稚園の時から、全員が色鉛筆もクレヨンもハサミも何だって持っています。その上、小学校に上がる時に新たに用意したのに加えて、学年が上がるごとに子供の要求するものをどんどんと買い与えていったら、ものを大事にするということが出来ない子供になってしまうように思いました。

私は鉛筆も鉛筆削りで削れないくらい短くなったら、銀色の鉛筆ホルダーに入れて、カッターで短くなるまで私が削ってあげて、大事に使わせました。

けれども消費社会ですから、周囲のお友達が可愛くて魅力的な文房具を持って学校に来るようになれば、そんなキラキラしたグッズが娘はうらやましくてしかたがなかったようです。

 

クリスマスから年が明けお正月になると、子供達はお年玉をもらったので、私は子供達を連れて、いろんなお店が入っている浅草のROXに行きました。

上の階のCD売場のそばに文房具のお店が入っていました。娘はそのお店の前にある「福袋」のところで動かなくなりました。

「お母さん、この福袋の中にはいろんな文房具が入っているの?」と聞くので

「そうね、運が良ければ500円以上の品物が入っているけれども、欲しいものが入っているかどうかはわからないのよ。損するかもしれないし、得するかもしれないし。」

「私、文房具が欲しいから、お年玉で、この福袋を買う!」

と娘は言い出し、ワゴンの中の袋を選び始めました。

優柔不断なところがある娘は、時間をかけてやっとひとつの袋を選び、それを持ってレジに行きました。買物をすませた後は、皆でお好み焼き屋さんに行きました。

家まで袋の中身が知りたくて待ちきれない娘は、お店の中で、早速福袋を開けてみると、どうみてもお店の余り物としか思えないような代物ばかりが出て来ました。可愛い文房具は全くなく、事務用品のような類のものだったので、娘はものすごいショックを受けてしまいました。

「500円損した!お母さん、こんないらないもんばかり。ひどい」

ほとんど半ベソ状態の娘に

「だから言ったでしょ?欲しいものが入っているかどうかはわからないって。これはくじみたいなもんなんだから、文句言ったってしょうがないでしょ。自分でやるって決めたことなのだから」

あまり嘆き悲しんでいたので、思わず500円損して可哀想だったねと娘にお金をあげたくなったのですが、そこはぐっとこらえました。自分で決めたことに責任を持たせることは大事だと思ったので。

 

それから大人になるまでしばらくの間、娘は福袋にすごい拒否反応を示したのは言うまでもありません。お陰さまで、渋谷の109に徹夜で並んで福袋を買うような女子にはならなくてすみました(笑)

 

でも、この話、個人的には、とても泣けるんです。子供にあるものを大事に使わせ我慢することを教える時、親も同じくらいつらいということを子供達が大きくなってわかってくれたら嬉しいと思いました。ちなみに娘は、私との約束を守り、6年間筆箱もランドセルもとても丁寧に使いました。そのことは、娘にとって嬉しいことではありませんけれども、我慢出来たということが、娘の自信に繋がっています。