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「ポレポレ」とはスワヒリ語でのんびり、ゆっくりという意味です♡

脳梗塞で母が倒れました その二

母が入院して1週間経った時、担当医師から言われたことは、脳梗塞の範囲は入院時より広がり、半身不随なだけでなく意思の疎通、感情表現もできないということで、回復の見込みはほぼないと言われました。要介護認定5に値する母の状態では、リハビリもできないため転院も難しいので、今後は自宅に引き取り看取るという体制が望ましいのではないかと伝えられました。

とはいえ、本格的な介護など経験したことのない私たち家族が、いきなり要介護5の母のお世話をするのは難しいことは病院側も百も承知で、そのため病院には退院支援というシステムがあり、退院前に看護師から家族に介護のやり方を徹底指導してくれるとのことでした。

 

最初、看護師さんから介護のやり方を見学させてもらい、翌日から彼女達の指導のもとに家族が実際にやってみるというものなのですが、中でも一番やっかいなのが「陰部洗浄」という下の世話です。ただオムツ交換だけかと思ったら、毎日1回必ず陰部を洗浄しなくてはいけないということで、第一回は兄と私とで看護師さんから習いました。兄と私の指導が終わったあと、看護師さんは、他にも習いたいご家族はいますかと聞いてきたので、「おばあちゃんのお世話、自分も覚えたい。弟も一緒に連れていく」と姪が言っていたので、「姪と甥が教えてもらいたいそうです」と伝えると、兄の反応が!

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実際、看護師さんから習ってみるとまごつくことばかり。なかなか大変でした。そして、あらかじめきちんと必要なものを手元に準備しておくことがとても重要だということがわかりました。

兄はこの指導を受けた途端に、すぐにこれらを購入して退院準備を始めました。それだけではなく、褥瘡を防ぐ介護ベッドや、陰部洗浄と一緒に教わった吸引の機械をレンタルしたりと、ひとくちに自宅介護と言ってもこれまでのように部屋に布団を敷いて寝かせるのではなく、ある程度病院のような環境を整えるのだから、ケアマネさんとも相談し準備に色々とお金もかかります。

 

そんな家族の大変さなどわかるはずもない母は、いつ病院に行ってもほとんど眠っていて、声をかけると目を覚ますけれども、またすぐに寝入ってしまうという状態でした。

 

ところが、入院し点滴がはずれ6日目にはドロドロ食を食べさせたと聞き、すごく驚かされました。それは一番最初にスタートする嚥下機能の回復というリハビリなんだそうです。

これまで当たり前にしてきた「食べる」という行為が、こんなにも生命維持において大事なことだったとは、考えたこともありませんでした。

必要な栄養を取り「食べる」こと。これは、脳にある摂食中枢と嚥下中枢からの指令で口や喉を動かして、水分や食物を口に取り込み、胃へ送り込むことで、これを「摂食嚥下」の運動というようです。この運動機能をいち早く開始しないと、どんどんと衰弱してしまうわけで、特に入院時に延命治療を断っている母は自力で嚥下機能を回復し栄養摂取しないと、すぐさま死に至ります。

幸い、リハビリの方がトロミをつけた食事を時間をかけながら少しずつ食べさせてくれたおかげで、10回のうち7回は食べられるようになりました。

 

ただそこに至るまで、むせて食べられないこともあり、ある時医師が私にこのまま口から食べられないようだと鼻から管を通して栄養を入れることになりますが、どうしますか?と聞いてきました。「経鼻経腸栄養」というそうですが、それをしないと生命に危険が迫ることになりますが、とおっしゃるのです。それは延命治療ではないのですか?とお聞きすると、何故かそれには当たらないと。それで私は「では、先生が、母と同年で、脳梗塞で今の母と同じ状態になった時、鼻から栄養を入れるという行為を望みますか?」と逆に質問してみました。すると、先生はとても困った顔をし言いにくそうに「お母様の年齢を考えますと、まあ、私は望まないだろうと思います」

とても正直な先生だなと思いました。「では、母もそれはしません」と応えました。そういうやりとりを、眠っている母に聞こえていたかどうかはわかりませんが、そのあと、口から食べるようになったのでした。