母がいてこその実家
以前にもちょっと書いたのだけれども、実家というのは何なのだろうって思います。
辞書で引くと、
じっ‐か【実家】
1 自分の生まれた家。生家。
2 婚姻または養子縁組によって他家にはいった者からみて、その実父母の家。
とあります。
幸い私の実家は、建替えはしたものの、私の生まれた土地にある家なので、母が今住んでいる家は、辞書通り「実家」と言えます。
でも、もしこの先、母がいなくなり兄夫婦だけの家になったら、それは実家なのかなあと考えると、どうもしっくりこないような気がします。
また、うちの子供達にとっては、今私の住むこのマンションで生まれ育ったわけではありません。けれども、私が住んでいるということで、今は引越て別の場所に住む娘もここを実家と呼んでいます。
要するに、実家とは、自分の親が住んでいる場所のような気がしてなりません。
私の場合は、父は20年以上前に他界してしまったので、実家に行くと、いつも母がいます。
それって、当たり前のことだけれども、ものすごく嬉しいことなんですよね。
いるだけで有難いのです。
ところが、母は、常に家族のために何かしてあげていないと自分の存在価値がなくなってしまうように思っているのです。
この間も、たまたま実家に行った日が夫の誕生日だったので、そのことを告げると、家の中をあちこちウロウロして、不揃いの缶詰を3つ探しあて、これをあげてちょうだいと私に差し出しました。
私は実家の帰りに、買物をして帰る予定だったので、
「お母さん、悪いけど、重たいし、これはいいよ」
と突き返すと、母はすごく残念そうにしていました。
実家に行くと、母との別れ際、年老いていく母が不憫になり、実家からの帰り道は少しだけ悲しい気持ちになります。
母に私のこの思いを伝えたら、少しだけ笑顔になりました。