そして家族に その15

結婚するということは、家族の歴史の始まりです。自分の家族を大事に思うように、夫の家族もとても大事な存在になります。義父は、ゴッドファーザーのごとく、家族全員の誕生日を手帳につけ、何年か前までは、娘と息子と私と、そしてもちろん夫にも、毎回とても心のこもったお手紙を下さいました。そして、一年を通して、家族が集まるイベントを大切にしてくれ、それは91才になった今も変わることはありません。

結婚した翌々年に、義母のお誕生日を初めて我が家で祝おうと両親を招待しました。我が家の目の前は隅田川で、少し早めにやって来た両親は、隅田川の土手のベンチに腰掛け、二人してしばらく景色を眺めていたそうです。それがとても楽しかったようで、その光景がいつまでも忘れられないと義父はしばらく言っていました。11月は義母のお誕生日、そして今月は祥月命日のある月。何も親孝行出来ないまま、義母は逝ってしまいました。

ちなみに、この隅田川のシーンは、小津安二郎監督の「東京物語」の熱海の名場面を思い出させました。