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今日もぽれぽれ

「ポレポレ」とはスワヒリ語でのんびり、ゆっくりという意味です♡

認知症にはジョークと笑いで

ケアホームに入所している義父を訪ねると、毎回繰り返し言うことがあります。

あちこちのポケットをまさぐったあとに
「困っちゃったんだよ。財布がなくなって朝から捜しているんだけど、全然見つからないんだよ。どこにやったのかなー。しかし、俺もボケたな」と。

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そもそも義父は家族と食事に行った時は、終わり頃になると必ずトイレに行くと言って席を立ち、その帰りにお会計をサラッとすませて来てしまうというひとでした。

食べ終わって「お会計は?」と夫が言うと
「もうすませたよ」
とさりげなく言い、私達がお礼を言うと、片手をあげてニコっといいからというしぐさをします。恩着せがましい態度は決してしないんですよね。

 

そんな義父ですから、お財布がなくなってしまうというのは、気分的に居心地が悪くどうにも気になってしょうがないのだと思います。それでなくとも、認知症になると、よく財布をなくすというトラブルの話を聞くので、義父にかかわらず大切なお金がなくなることの不安をいつも感じているのかもしれません。


それで、毎回お財布の話題になると、夫が優しく助け船を出し
「お父さん、ここではお財布はいらないんですよ。ここは、お金を使わなくても大丈夫なところなので…」
とケアホームがお財布なしでも生活出来る場所だという説明をし始めます。

しかし、お父さんは最近説明的な話というか、長い話を聞いても内容が頭に入っていかない様子で、私が夫とのやりとりを見ていると、ほとんど訳がわからないといった顔つきになります。

そして、しばらくすると、再びお財布の話を持ち出すので、この間の訪問では、私が応戦してみました。
「お父さん、私にお金をくれようとしているんですか?だったら、ポケットに入れられるような小金はけっこうですよ。下さるなら、こう帯封のしてあるお札の束がいいなぁー」
ジョークを言ってみました。すると「参っちゃうなー」と、大喜び。その日は、それきりお財布の話は出ませんでした。

義父は、想定外の面白い会話にとても素早く反応して大喜びします(^_^;)認知症になっても笑いのセンスがあるので、こちらの冗談は通じるし、義父の冗談は不思議とすべりません。

 

それにしても、夫は実に親孝行な息子で、先日の訪問では、父が戦後会社を起こして50年の長きにわたり経営者として苦難を乗り越え頑張ってきたことをほめちぎり、僕らはいつも尊敬しているんですよ、と持ち上げまくっていました。
「そうか、50年。そんなになるかなー」と義父が気持ち良くニコニコとしているところに、想定外のツッコミを入れるのが私です。
「そうですよー。もしかして、どこかに隠し子とかいるんじゃないですか〜?」
とニヤニヤして私が言うと、義父はものすごく身体を揺すって大笑いしながら、夫に向かって
「このひとはさあ、時々すごいこと言うよなー。今、俺は頭にショックがいって、ボケた頭がシャキーンとしちゃったよ」と、義父流の自虐的なジョークを言って私達を笑わせたのでした。しかし、「時々すごいこと言う」と言ったのはちょっと嬉しい驚き。なぜなら、5分前のことも忘れてしまう義父が、前にも私にショックなことを言われたこと思い出したようなので、私はいい気なもんで勝手に嬉しくなったりするわけです。(いいかげんにしろよってこと?)

そうやって、夫はいつも父をほめちぎる役ですが、私の役目は、放っておくと延々と続く義父と夫の当たり障りなくまともすぎる(笑うところのない)話題に、横から冗談を言ってかき混ぜ、大笑いさせることだと思っています。

認知症にはジョークと笑いで、本人が気になってしかたのない話から話題をそらせるというのもひとつ手だなあと、最近感じたのでした。