今日もぽれぽれ

「ポレポレ」とはスワヒリ語でのんびり、ゆっくりという意味です♡

分娩室ひとりぼっち

今日は娘の誕生日です。

なんと娘も三十路となりました。娘も驚いているかもしれませんが、私自身が一番驚いてます。

今日は、私の初めての出産、つまり娘の誕生の模様を思い出しつつ書いてみようかと思います。

30年前、真夜中の2時ごろ陣痛が始まり、家の近所の病院に入院しました。今はどこの産科も、女性が不安なく出産を迎えられるよう至れり尽くせりだと思いますが、30年前は産科だからといって、妊婦さんにやさしい環境ではありませんでした。真夜中通された妊産婦がいっぱいいる大部屋の薄暗い病室で、ベッドに横たわり、私はひとり心細く痛みに耐えてました。

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夜が明ける頃、痛みと戦っていたはずの私はリラックスできる音楽をイヤホンで聞いていたために寝入ってしまいました。すると朝になってやってきた看護師さんに、「眠ったらせっかくいい感じで来ていた陣痛が遠のいてしまったじゃないの」と、眠ってはいけないと注意されました。朝食も昼食も出たけれど、痛みで食べるどころではありませんでした。

その日の分娩はどうやら私だけだったらしく、夕方になると、私を分娩室に運び、分娩台に乗せると、看護師さんは「このぶんなら、夜の7時過ぎかしらねえ」と言いました。この痛みで、こんな恥ずかしい格好であと2時間もいろってこと?ショックでした。

そうこうしているうちに、看護師の交代時間なのか、私ひとりを残して看護師は出て行ってしまい、部屋には誰もいなくなってしまいました。

ひとりにさせられた不安もあってか、急に強い陣痛に襲われ、相当危なっかしかったのですが、固定された両足をはずして分娩台をおりて、看護師さんを呼びに行こうと思いました。ところが分娩室の扉を開けた先の処置室にも、看護師さんはいなくて、机の上の電話の受話器を取りあげても誰も出なくて、そのうちポーンと破水してしまいました。そうなると、もう恐怖でしかありません。耐えきれない強い痛みからパニックになり「誰か助けてー!」と大声で叫んでいました。病院の分娩室で、これはないだろって思いました。

ようやく、看護師が入って来て、私が状況を説明すると「あら、まだずっと先だと思っていたのに、助産婦さん呼ぶから、分娩台に上がりなさい」と。

この看護師は鬼だと思いました。

私の両足を固定すると、「フーフーハーでしょ!ちゃんと呼吸する!」と命令口調。

まだ絶対に出産経験なんぞないだろう若い看護師に怒られながら、呼吸を整えようとしても、痛みが強すぎて上手な呼吸なんてできませんでした。そのうち初めていきみが襲ってきて、「ダメ、いきみたい」というと、看護師に「今準備しているからダメダメ!まだいきんじゃダメ!」と叱られ、いきみを我慢していたら、遅れて入って来た助産婦さんが「いいわよ、いきみたくなったら、いきんだって。そんなすぐには出て来ないから大丈夫よ」と言われました。ところが、やっとかけられたやさしい言葉に救われたのか、私の不安が消えて、2、3回いきんだらいとも簡単に出て来てくれたのでした。出産はやっぱり助産婦さんの力が偉大だ!

そして、お腹の中で私を蹴飛ばしていた我が子とようやく対面できた感動は、30年経った今も忘れることはできません。

こんな話を娘にしたかどうかは覚えていませんが、30年経った今日、私の備忘録として漫画にしておきました。