準備リスト以上の母の愛
再婚してしばらくたったある日のこと、母に呼び出されて実家の二階に行くと、母は押入れから衣装ケースを取り出し、いつの日か娘が結婚する時に必要になるだろうからと自身の黒留袖とその付属品一式を私に譲り渡してくれました。
しかしながら、とりあえず不要なものなので、私はそのままクローゼットにしまい込み、時々防虫剤をケースの中に放り込む程度で、中身を確かめることもなく何年も過ごして来ました。
そしたら、いよいよというか、ついにというか、黒留袖の出番が訪れたのでした。
私の母は準備万端な人だから、備えはバッチリとたかをくくっておりましたが、10日前の夜に、急に思い立って衣装ケースを開けて、式場から渡されたリストでチェックしてみたら、長襦袢に半衿がついていないことがわかりました。
私のは広衿タイプという正絹の長襦袢で、ネットで付け方を調べてみたけれども、これがどうにもややこしいんです。(針仕事は嫌いというのもありますが)
しかもネットには「たった一回で上手に付けられる人は、いません。丁寧に手早く出来るようになるには、やはり日頃の訓練です。初めて付ける人は、1時間くらいかかるかもしれませんが、早く出来るようになると、この方法で広衿ですと20分以内で付けられます。」とありました。
そんな黒留袖なんて、この先着る機会があったとしてもあと1回くらいだし、日頃の訓練なんて不要ですよね。
それで、我が家の近所にある呉服屋さんに電話で相談したところ、わずか1500円で付けてくれるということがわかり、速攻でお願いしてしまいました。
今日はその時の漫画です。
母は腰を傷めていて長いこと患っているひとなので、いつも冷やさないようにしていた人でした。そして、私も冷えですぐに膀胱炎になってしまう人なので、母は私に譲り渡す黒留袖一式の中に、毛糸の腰巻を入れてくれていたのでした。
式場の衣装担当の方は会場はとても暖かいですよとは言ってましたが、お式は神社で記念写真は外での撮影ということでしたので、たぶん、母が準備してくれた毛糸の腰巻はとても役立つと思います。