今日もぽれぽれ

「ポレポレ」とはスワヒリ語でのんびり、ゆっくりという意味です♡

れんたん事件

私が以前勤めていた会社は残業が多かったので、今度は定時で帰れる楽な仕事がいいと思い、政治家奥様のお手伝いを始めたのでしたが、始めてみると楽な仕事に思えなくなってきました。

 

なぜならば、家事のお手伝いをしてくれる家政婦協会派遣されてきた、プロの家政婦さんがすぐにやめてしまうからです。

考えられる理由をあげてみました。

洗濯はというと、洗濯機を使わせてくれず、浴室の残り湯で手洗いさせられる。

台所では、食器洗いに必要な洗剤もなく、スポンジもなく、あるのは奥様がかつて履いていた白い靴下の足首から下部分で、お湯は使えずお米のとぎ汁と冷たいお水で洗わされる。

お昼の食事は、出るには出るのですけれども、朝食後に電源を切られた炊飯ジャーに入っている冷めたご飯と残っていれば味噌汁と意味不明なおかずのみ。

 

一応家政婦協会といえば、大使館などでも勤務するようなプロの家政婦さんです。本来のやり方で家事をやらせてもらえたならば、普通の主婦には真似できないくらいのプロ意識でお仕事なさる方達なのではないかと思います。

それが、先生と奥様が入られた翌日の浴槽の残り湯で、手でゴシゴシと洗濯をし、ギューっとしぼるのです。奥様の指示で、ハンカチは窓ガラスにペターっと貼りつけてシワをのばし乾かします。食器洗いも、裏返しにした奥様の靴下とお米のとぎ汁で洗うのですから、正直つらいだろうと思いました。

そして、家政婦さんが辞めると、こちらも見かねて家事までお手伝いすることになるので、気がつくと私の仕事がどんどんと増えていきました。

 

記者さん達へのお茶出しのためにお湯を沸かす話は前回書きましたが、来客も多かったので、とにかく四六時中お湯を沸かす必要がありました。あるとき、奥様と地下の倉庫にモノの出し入れで行ったときに、練炭練炭コンロを奥様がみつけてしまいました。奥様はすぐさま、これでお湯を沸かしたらガス代もかからないから、これを上に運び、練炭に火を起こそうと言い出しました。新しい節約のタネを発見したときの奥様の喜びようはまるで子供です。上に運び、ベランダで早速奥様と一緒に火をつけました。が、なかなかつきませんでした。ようやくついた感じだったので、ベランダから離れて他の用をしていると、なんと真っ黒な煙がモクモクと立ち上っているではありませんか!

超高級マンションですよ。しかも高層階のベランダから煙がモクモクと出始めたのですから、とっさにこれはヤバイと思いました。

「奥様、ベランダでインディアンののろしのような黒煙があがってます!!!」と叫んだら、奥様がなんとそれを見て「ありゃりゃ、すぐにコンロをエレベーターホールに運んで!」とおっしゃるので、煙が出て火のついたコンロは熱いのですが、持って運びましたよ。持ち上げて運び始めると、練炭の熱気と煙が自分に向かってくるので、すごい恐怖でした。

エレベーターホールに置いてしばらくすると煙がおさまり、奥様はコンロの上にやかんをのせてご満悦でした。あの当時は火災報知器がなかったようで、大きなサイレンがマンション中に響かず本当に良かったです。それにしても、いくらワンフロアーを所有しているからといって、エレベーターホールの中央で練炭コンロを置きお湯を沸かしている奥様は、本当にトラブルメーカーで次に何をしでかすのかと思うとドキドキものでした。

家に戻り、その話を母にしたら、「なんて危険なことを!一酸化炭素中毒にでもなったらどうするの!」と注意されました。翌日マンションに行ってみると、エレベーターホールには練炭コンロが置かれていなかったので安心し、ただ奥様には一酸化炭素中毒の話を申し上げました。そしたら、奥様は翌日にはすっかり練炭のことを忘れていたのに、私がその話をしたために

「そや!忘れてた!練炭やがな!今日も火をつけてお湯を沸かそう」と、逆に思い出させてしまい、再び練炭コンロをエレベーターホールに持ち出したのでした。ほんと、懲りない奥様です(笑)

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